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模擬EUで発言する学生たち=2024年10月26日午後2時43分、奈良女子大、仙道洸撮影
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 大学生が欧州連合(EU)加盟国の代表に扮し、理事会での議論を体験する「模擬EU」が、10月26日に奈良市の奈良女子大学で開かれた。世界各国で開かれている催しで、国内では昨年10月に東京大学で開催されたのに続き2回目。駐日EU代表部の幹部が見守る中で、学生46人が議論を交わした。

 参加したのは奈良女子、神戸、京都産業、同志社、大阪など、関西を中心とする13大学の学生たち。EUに加盟する27カ国の環境大臣や欧州委員会の委員を務めた。

 議題は気候変動対策。特に輸送の分野でいかに脱炭素化を推進していくかを話し合った。各EU加盟国が実際に推進している温室効果ガスを削減する施策を共有し、合意を目指す指令案について意見をまとめていった。

 大型車の脱炭素化をどう進めていくかを議論する場面では、ガソリンの代わりとなる人工燃料「合成燃料」の活用について言及された。「燃料の一部である水素の生産にコストがかかる」「国によっては生産技術が追いついていないため、先進国の輸出に頼った方がいいのでは」との意見が出た。

 採択された指令案では、「公正に使用燃料の低炭素化・脱炭素化を合成燃料・バイオ燃料などを含めて推進する」ことに合意し、議論は終了した。

 議長国のハンガリーの代表役を担った同志社大法学部4年生の浅岡幾一郎さんは、「議論の対立があるときにどう合意をするのかが難しかった」と感想を述べた。一方、EUのような国家連合の枠組みについて、「まとまって一つの声を作るのは大事。このような対話が東アジアでも進んだらいいと思った」と語った。

 EU代表部公使のトーマス・ニョッキ氏は、「学生たちの議論に感銘を受けた。EUの仕組みや意思決定の枠組みが他の場所で発展することは重要なことだ」と話した。(仙道洸)

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